全日空佐賀便機長労災事件上告審
最高裁判所が上告棄却の決定!
全日空乗員組合の見解を紹介致します。これまでのご支援に深く感謝致します。
【佐賀便機長労災事件最高裁上告及び上告受理申立棄却についての見解】
2000年9月11日の事件発生以降、10年の歳月を要していた「全日空佐賀便の運航中における機長意識喪失事件」の労災認定を求める訴えについて、2011年12月最高裁判所は、上告及び上告受理申立をいずれも棄却した。
今回の最高裁判所の各決定は、およそ何の判断もしていない不当なものである。様々な業態に、一律に適用される労災認定基準が合理性を持たないことが、これまで多くの判例でも明らかになっているにもかかわらず、行政方針となっている「規制緩和」「市場競争原理優先」「羽田空港の24時間化」などを背景にして、司法として判断すべき、労働者保護のための法令を適切に解釈・適用すべき任務を、放棄していると理解せざるを得ない。
私達乗員組合はこれまで、行政機関や裁判所で、亡き機長の過労状況や睡眠の質の問題、また脳血管疾患が、航空業務遂行に伴う不良な睡眠や特殊なストレス、更に、当日の「東海豪雨」という希に見る異常気象のもとでの厳しい運航上のストレスを原因として生じた事など、専門分野の研究者や医師の意見書を示し一連の労災不適用の判断がいかに非科学的な決定であったのかを明らかにしてきたが、行政、司法とも明確な反論や理由も明らかにせず、労働災害を認めないという決定だけを繰り返してきた。
私達は、不規則かつ過重な勤務が拡大する状況にあって、再び同様な事件が起きない様、本件労災認定を求めてきた。今回最高裁判所は、このような不当な決定を行い、裁判手続きは終了する事になったが、この間、明らかにされた科学的知見は、本件最高裁判所の決定に関わらず、再発防止に有効な財産として生き続けている。また、同様な知見は、世界的にも採用され、ICAO(世界民間航空機関)の基準にも取り入れられ、疲労管理システム(Fatigue Risk Management)として適用される時代となっている。裁判所は、科学・医学の進歩と発展、現場乗員が置かれた極めて特殊な労働環境と勤務実態に目を向けるべきである。
本件「重大インシデント」発生以来、今日まで、様々な場面で、ご遺族を励まし、行政、司法にわたる様々な取り組みに協力を頂いた多くの労働組合、研究者、医師、個人の方々に、改めて厚く感謝と敬意を表すると共に、皆様の励ましや協力、努力の成果は、これからの同種重大インシデント防止や労働災害予防の礎(いしずえ)となる事を堅く信じている。私達乗員組合は、悲惨な労働災害をなくし安全な航空サービスが守れるよう、今後も一層の努力を続ける決意である。
2012年2月
全日空乗員組合
パイロットには、労災は
認められないのでしょうか?
2000年9月11日、東海豪雨という悪条件の中の名古屋空港に着陸したANA機長が、次便、佐賀空港行きのフライト中に脳出血のため操縦室内で意識を失い、その後、搬送された病院で亡くなりました。本件は国土交通省が重大インシデントと認定しました。
不調を訴えながら、交代要員が配置されていない空港で乗務を続けざるを得ず、操縦室というパイロットにとっての「職場」で倒れたにも関わらず司法の場でも労災はとうとう認定されませんでした。これまで最高裁判所第一小法廷で審理が行われていました。これまで支援をして頂いた方々、団体の皆さんに改めてお礼を申し上げます。

エアバスA320型機操縦席
全日空乗員組合法務部編
【TOPICS】
◇朝日オピニオンページ「視点」=科学的な労働管理を(投稿記事)=
<===引き続き、担当弁護士コメントを準備中です。===